ラグタイム
藤本さんは天井をあおぐと、
「それもそうか」
と、呟いた。

「おいおい…」

この若頭、意外にもどこか抜けてるところがあるな?

そう思ったあたしに、
「たまたまうっかりしてただけだ。

抜けてるところがあるのはお互い様だろうが」

藤本さんが言った。

「なっ、ええっ…!?」

今、あたしの思ったこと読んだ!?

「バカか、全部口に出してたぞ」

藤本さんが呆れたと言うように言った。

「男と女の切り替えくらいちゃんとしろよ、このアホンダラが」

「あ、アホ…!?」

「アホンダラ」

わざわざもう1回言わなくてもわかってるっつーの!
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