ラグタイム
「何かあってからじゃ遅いんだ。

そのせいでお前の兄貴はどっか行っちまったんだから」

赤川さんは息を吐いた。

「えっ?」

あたしは驚いて聞き返した。

「兄貴がどっか行っちまったって、どう言うことなんですか?」

思わず聞き返したあたしに、
「大輔さんや翼に言っていないことだけど、実は朝貴の異変に気づいてたんだ。

失踪する1ヶ月以上前だったと思う。

ケータイを忘れたことに気がついて店に戻ってきた時のことだった。

その時に、朝貴がホールの方で誰かと話をしていたんだ」

赤川さんが言った。

「えっ?」

誰かと話をしていたって、
「誰と、話をしていたんですか?」

あたしの質問に赤川さんは首を横に振った。
< 85 / 340 >

この作品をシェア

pagetop