今夜、上司と恋します


「呼んでくれるか」



そうやって甘く、囁く。


「……英人、さん」


唇が重なって。
少しだけ離れると。


「もう一度」



そう、また甘く囁く。



「……ひ、でと、さん」

「…蛍」



私の、大好きな低くて甘い声。



いつ、私が恋に落ちたのかなんてわからないけど。


こうなるのは必然だったんだって思う。



「前に…、寿の話をしたな」

「はい」

「最初は大した子だとしか思ってなかったが…」



英人さんは、私の背中に腕を回すと優しく髪の毛を梳く。
そして、耳元でぼそっと呟いた。



「気付けばあの時、恋に落ちていたのかもしれないな」



どうしたって、英人さんの声は私を刺激する。


触れるだけのキスはいつの間にか、深いキスへと移り変わっていく。
ゆっくりと私の体に手を這わす、英人さん。


< 236 / 245 >

この作品をシェア

pagetop