今夜、上司と恋します

野々村は語る。




……。
ちょっと、待って。

何、あの二人ってそういう関係なの。



保管庫から出た俺の胸はまだドキドキしていた。
中がどうなってるか、気になったけどそれを確認するほど、無粋ではない。


“体の関係しかない相手を本気で好きになるっておかしいですかね”


そう問われた時。

そんな相手がいるんだって素直に驚いたと同時に、始まりは関係ないと思った。


広瀬。
今度、飲みに連れて行ってやろうっと。


あれは完璧両思いだよ。
てか、佐久間さんカッコよすぎ。


広瀬に同情はするけど、何度も告白しろって言ったのにしなかったのはアイツだからなあ。
いつから二人がそんな関係だったかなんてのはわからないけど、きっと付け入る隙はあった筈。


俺はそんな後悔したくないから、好きだと思ったらすぐ言葉にしてしまうんだけど。


あー。彼女に今すぐ会いたくなってきた。


【朱美ちゃん、愛してる!】


スマホを取り出すと、俺はそうメールを打つ。
きっと彼女はこれを見て、は?としか言わないだろうけど。

それでいい。
それが彼女らしい。


「さって、残りの仕事片付けますか!」


背伸びをして、俺は仕事に戻った。




2015.10.21
< 243 / 245 >

この作品をシェア

pagetop