【超短編30】恋愛トマト談義
そういう問題じゃないのだけれど
気になることは他にもある。



(しゃべるトマトは
他にもいるのだろうか?)



目の前にいるトマトの口ぶりだと
普通に存在する感じだ。


少し貴重なイメージもある。



そういえば昔

「トマトはダメだけど
トマトジュースは大丈夫」
という女の子と

3ヶ月だけ
付き合ったことがあった。



もしかしてあの言葉には

『しゃべらないトマト』

という意味が含まれていたのかも
しれない。



言葉の意味を略すほど

『しゃべるトマトがいること』
は常識的なことなのだろうか。



「さぁ、さぁ。
遠慮しないでどうぞ」


どうやらこれ以上
間をあけるわけにもいかない
らしい。



僕はトマトが嫌いじゃない。
むしろ好きな部類だ。


でも
食べ物の『好き嫌い』は

他のモノや、
人付き合いとは訳が違う、


はずだった。




「ごめん。
僕はトマト『を食べるの』が
好きじゃないんだ」


僕は彼に誠実なウソをついた。



それ以降、目の前のトマトが
話すことはなかった。



彼を傷つけてしまったのか。
それとも、ただの幻だったのか。


僕のついたウソは
誰のためのウソだったのだろう。



真相はもうわからない。





3ヶ月間、付き合った子と
別れた理由はなんだっけ。
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