不滅の恋人~君だけを想う~

結婚



 フローラの心は未だ亡き婚約者ヴァーノンに捕われていた。

しかし、慰めや愛情を与えてくれるレオンハルトの存在が大きいのも事実。

そして彼以上に自分のことを思ってくれる人はいないだろうということも。

フローラがレオンハルトとの結婚を決めたのはそういう理由だった。

彼ならば不安定な自分のことを傍で支えてくれると信じられた。

しかし、そこに恋情があるかと問われれば彼女は苦笑するしかなかった。


初夜、ヴァーノンに捧げるはずだった純潔を散らし涙するフローラの魂に、レオンハルトは独占欲と嫉妬を覚えた。

しきりにヴァーノンと呼び続ける唇を唇でもって塞ぎ、自分の名を教え込む。

「レオンハルトです」

絡め合う中、縋りつく温もりを引き寄せて。

「言って下さい…。僕の名前を…!」

フローラは決してレオンハルトを呼ばなかった。

彼女の心は亡き婚約者のものであり、彼のものではなかった。




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