不滅の恋人~君だけを想う~

ヴィルトゥオーソとは、簡単に言ってしまえば「超一流の演奏家」のこと。

単なる演奏家ではなく、超人の域に達する程の優れた技巧や能力、音楽センスを備えていることが条件となる。

またヴィルトゥオーソと言えば、その演奏家が持つ「芸」のようなスゴワザを指す場合もある。

ジュラの場合ならアクロバティックなテクニック。

レオンハルトなら、彼にしかできない絶妙なテンポ・ルバート。

他にも様々な自分だけの卓越した特技を持っている演奏家は多くいる。

十九世紀のパリでは、このヴィルトゥオーソ達がとても人気だった。

ジュラはその人気を利用して多くの義捐金を集めようというのだ。

「……凄い自信ですね」

「もちろん。俺は彼らの演奏を高く評価してるからね。もちろん、レオンハルト。君の演奏の素晴らしさもわかってるつもりだよ」

爽やかに微笑むジュラ。

こう言われてしまっては断れない。

否、最初から断る気はなかった。


「わかりました。僕も参加します」


この時、レオンハルトの瞳に敵意はなく、表情は少しだけ和らいでいた。




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