不滅の恋人~君だけを想う~

クレッシェンドは愛を語り、デクレッシェンドで切なさを溜息に乗せる。

夢は儚く、けれど愛に溢れ、甘美な苦悩をもたらすのだ。

「これは、俺が生死の境をさ迷ってる時に浮かんだメロディーなんだ。地獄の苦痛を体験しながら、この恍惚とした音がずっと鳴り響いてた」

五分もかからずに曲が終わり、ジュラがふっと肩の力を抜く。

彼の持ち味であるアクロバティックな展開が一度もなかったことに聴いていた二人は衝撃を受けた。

あのジュラがメロディーをドラマチックに歌わせてレオンハルトにも負けない情熱を見せたのだ。

フローラがうっとりした表情でホォと悩ましい溜息を漏らす。

レオンハルトはというと、その冷徹な青い瞳に涙を溜めていた。

「認めません……こんな…こんなのって…!」

零れ落ちてくる前に涙を拭う。

認めたくはないが、彼は感動してしまったのだ。

ジュラ・エーデシュの演奏に。


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