死神のお仕事
…自分の命を生きていないのが、幸せ?
それに気づかないでいるのが、幸せ?
「じゃあアラタさんの幸せって何ですか?」
「本人が満足してんだから幸せだろ」
「誰かへの想いに執着して自分の命を蔑ろにする、それが幸せですか?それが幸せだと信じてる事が幸せですか?」
「だから、そうやって決めつけるのが、」
「だって!今生きてるのが不思議なくらい自分に目が向いて無いんですもん!詳しく知らなくてもそれくらい分かる!アラタさんはその人の為だけに生きてるんだって!」
そしてそれが自分の為なんだって、本気で想ってるんだって。
「そんなの可笑しい!本人が満足してたとしても、それじゃあアラタさんの人生は、アラタさんはどこにいったんですか?その執着が無くなったら終わりですか?彼をここに留めてるのは執着心だけですか?」
「そうだ。そういう事だ」
「そんなの私にはーーえ?」
聞こえてきたのは、はっきりとした肯定の言葉。そういう事だと、私の言葉に同調する言葉。
「でも、だったら何がいけない?」
そして先程から嫌という程伝えてきたような気がする言葉を、もう一度問われる。
「執着心だけで生きる事の何が悪い。自分の生きる理由があって、それを終える死の瞬間まで決められている。それの何がいけない?むしろこれ以上の幸せは無いだろう」