君の声が聞きたい

蓮side


着慣れた制服に袖を通して、見慣れた校門をくぐる。


「コラ、荒城!ヘッドホンは取りなさい!」


背後から生活指導の先生の声が聞こえるのを無視して、俺は手をポケットに突っ込み頭のヘッドホンに繋がる音楽プレイヤーの音量を上げた。

荒城 蓮 araki ren。16歳。
2週間ほど前に高校2年になった。
164センチと男にしては小柄で、無造作に切った黒髪は少し目にかかっている。
特に目立つような容姿では無く、社交的では無い性格も俺自身、よく自覚している。

耳から流れる音楽は流行りの曲なんかじゃなく、どちらかと言えばマイナーなロックバンドが奏でるものだ。
世間で騒がれるようなバラードやラブソングは苦手だ。
どうしても、綺麗事にしか聴こえない。
それよりも俺は、世間に対する疑問を魂から歌う激しいロックサウンドのほうがよっぽど魅力的に感じる。
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