君の声が聞きたい

普段はあっという間に終わる午後の授業が、とても長く感じた。
HRが終わった瞬間俺は逃げるように学校を後にする。
先輩と同じ空間にいる事、そして伸也と言葉をかわす事に後ろめたさを感じていた。

駅には直行せず学校の反対側に昔からあるイヤフォンやヘッドホンの専門店に足を伸ばす。
今まで使っていた白と黒のヘッドホンもそこで買ったものだ。
決して大きな店舗では無いが、品揃えが良くベーシックなものから面白いものまで並ぶ商品は幅広い。
店主のセンスの良さを感じる。

落ち着いた清潔感のある独特な雰囲気の店のドアを開ければチリンと控えめな鈴の音が響いた。
見知った顔がこちらを向く。
軽く会釈をすればニッコリと初老の店主が迎えてくれた。


「蓮くん、ご無沙汰だね。いつもご贔屓にしてくれてありがとう。」

「…いえ。」

「ゆっくり気に入ったものを選んでいってね。」


コックリ頷いて俺は順繰りに店内を見て回った。
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