俺様常務の甘い策略
「藤堂颯介です。これから宜しく」

俺がにっこり微笑むと田中さんの頬がポッと赤く染まる。

「何かあれば遠慮なく仰って下さいね」

はにかむように微笑んでそう言うと、田中さんが目を輝かせながら俺を見上げた。

見慣れた光景。

だが、いつまでその可愛い子ぶった表情でいられるだろうか。

「じゃあ、早速で悪いけど、今日中にこの部屋の荷物全部片付けてくれるかな?パソコンは最新のものをお願いするよ」

「……今日中にですか?」

田中さんが信じられないといった表情で目を丸くする。

「そう、今日中に」

俺はニコッと作り笑いをして次の田中さんの反応を待つ。

出来ないとは言わせない。田中さんの担当は俺しかいないみたいだし、無理難題を突き付けたわけではない。

それに、彼女一人でこの部屋を片付けろと言っている訳ではない。

人を使えば、今日中に出来るはずだ。
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