アバター2
通信官、一等海曹の川田は任務を上がってサウナにあるような狭いカプセルに入っていた。狭いと言ってもテレビはあるし座っても頭が天井につかない。最低限のプライベートは確保できる。

携帯電話は艦内に持ち込み禁止になっているが、最近できた可愛い彼女と連絡には欠かせない。川田は携帯を隠して艦内に持ち込んだ。

一旦任務で海上にでれば1ヶ月は陸に上がれない、彼女と逢うことができない。
五年間、辛い任務につき貯蓄もできた。もうこの海上任務が終われば海自を辞める予定だ。

携帯電波が届く所はほとんど無い。
レーダ波は主にマイクロウェーブ波で電子レンジに使われている物と同じだ。レーダー波を直接浴びれば人体に悪影響を及ぼす。イージスシステムから発する強いレーダ波から隊員を保護しなければならない。艦内は分厚い鋼鉄で密閉されている。携帯電波の入る余地はない。

川田はあらゆる場所で携帯の電波の状態を調べた。唯一、ブリッチの近くにあるトイレの小さな換気扇に携帯を持って行けば何とかメールのやり取りはでき事が分かった。

そこは、通信室からもそんなに遠くない。通信官なら疑われることなくメールの通信ができる。
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