妄想ラブレター



瀬戸くんは再び髪をくしゃりと握りながら、泳いだ目でさらにこう言った。



「女子ってやたら男の身長気にするだろ……?」



それって、気にしてるのは女子の方ではなく……瀬戸くんなのでは?



「……っておれの周りの男子はみんなそう言って気にしてるやつ多くてさっ」



あっ、誤摩化した。


自分を外して言ってるけどこれって絶対瀬戸くんのことだと思う。


だって瀬戸くんって男子の中ではかなり背が低い方だし。152センチしかないあたしと目線かわんないし。


でもさすがにそんなこと突っ込めるわけない……。



「あー、どうだろ? 人によるんじゃない?」



なんてどんな顔して言ったらいいのか分からない。だから今のあたしはきっと変な顔してる。



「そっ、そっか……」

「そうそう。人によると思うよ。だから瀬戸くんも大丈夫だよ」



おっと。最後の言葉は余計だった。


けどそう思った時にはもう遅い。瀬戸くんがすでにジトっとした目であたしを見てる。


ちょっぴり非難するように。



< 8 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop