夢色約束
「ねえ、香里奈ちゃん」

私を待っていたのか、下駄箱にもたれかかって携帯をいじっていた奈留ちゃん。


「奈留、ちゃん…」


「ちょっといいかな」

笑っているはずの奈留ちゃんがなぜだか、一番怖く感じた。


「うん、いいよ…」





私たちは帰り道、駅前のカフェに行った。


「「…」」

無言…。


「えっと、どうしたの?」


「…」

いや、応えてよ…。

私が呼び出された意味…


「…ねえ、」

やっとしゃべってくれたー!!


「どうしたの」

紅茶に口をつける。


「香里奈ちゃんって…光くんのこと、好きなの?」


「ブッ!!」

飲んだ紅茶を吹きそうになった。


「図星?」


「いや、その、えーと」


「私、光くんが好き」

ズキッ


「だから、香里奈ちゃんが光くんを好きなら、私たちはライバルだよ」


「…」


「今、光くんの一番近くにいるのは香里奈ちゃんかもしれない。でも、私は香里奈ちゃんに負ける気も、譲る気もないよ」

強く言う奈留ちゃん。


「私は…」
< 103 / 261 >

この作品をシェア

pagetop