夢色約束
「ちょ、光!どこ行くの?」


「どっか」


「どっかって…」


「一緒に回るやつ、いないんだろ?」

いや、そうだけど…


「光は?」


「俺も」


「那月くんは?」


「なんで文化祭まであいつと男二人で回るんだよ」

それもそっか…

男二人で文化祭回るなんて、なんか、哀しいもんね…


「それに、あいつ彼女と回るらしいし」


「彼女!?」

思わず出た私の大きな声に光の足が止まる。


「そう、彼女」


「彼女、いたんだ…」


「ショック?」

ちょっと低くなった光の声。


「光?」

私が顔を上げると、そこには拗ねたような光の顔があった。


「どうしたの?」

私、何か言った?


「別に」


「別にって…」


「なんでもない」

なんでもなくないじゃん…


「…」


「香里奈は、俺と回りたくない?」

少し、哀しそうな目をした光。

なんか、子犬みたい…

可愛い…


「そんなこと、ないけど…」


「けど?」


「っ、光の好きな人とか、誘わなくていいの!?」

もう勢いだ!!


「は?」

は?って…


「別に、いいんだよ。ほら、そんなこと気にしてないで行くぞ」


「本当にいいの?」


「なにがだよ」

めんどくさそうに言った光。


「だって、由羅のこと、好きなんじゃないの?」

あ…聞いちゃった……
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