鬼姫伝説 Ⅱ



そう思うと少し胸が痛かった。
でも、鬼羅の思いを無駄にはしたくない。
私は毅然とした態度で男を真っ直ぐと見た。




「どうする。時光に引き渡してもいいのだぞ」

「・・・っ、わかった」




男が苦々しい顔でそう言った。
時光の元にはそれほど戻りたくないんだろう。




「いるものが色々とある。準備をさせてほしい」

「琉鬼、手伝え」

「わかった」



琉鬼が男を連れて準備をするためその場を離れた。
緊張感を解き、ふぅ、吐息を吐く。




「大丈夫か?」

「うん・・・」




鬼羅の言葉に私は笑って答える。
辛いのは、私じゃない。
鬼羅の方が辛いはず。

だから、私は鬼羅に安心してもらわなくちゃ。




< 171 / 198 >

この作品をシェア

pagetop