シンデレラタイム


「ほら、葵。うちらの番だよ。」

「いや、あたし本当に待ってるからさ。」

「何言ってんの行くよ!」

「やだあああああ!」





あたしが先頭で入る。




おお〜!なかなかすごい!





暗幕が張られていて中は真っ暗。音楽も雰囲気を作り上げてる。





あたしの腕をガッチリ掴んで顔を上げない葵を無理やり連れ込む。どうやら見たくないらしい。





もう仕方ないなぁ。



まだ一歩しか入ってないのに。





てか、葵が入り口で止まるからその後ろの安田達も入れてない。





大丈夫だよ、と意味のない励ましをして今度こそちゃんと中に入った。





瞬間にさっきまでは気づかなかったけど、すぐ真横に死神がいて。





あ。って思ったんだけど。



葵は見てないからセーフ!なのに。






「ギャアアアアアアアアア!!!!」

「うっさいわ!」





見事安田が大絶叫をぶちかましてくれた。それもあたしの耳元で。




人生で初めて鼓膜が震えた感じがした。
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