シンデレラタイム


かったるい入学式も終わり、各々が自分たちの教室まで戻る。

担任が教壇に立ち、あたしたちも席に着いた。



「えー、親御さんたちもお子さんの席まで入っていただいて構いませんよ。」


という担任の声により、わやわやと教室に入ってくる大人たちは、自分の子どもを見つけ、通路に立つ。



金持ちそうな人ばっかだなあ…。


なんて思ってたら、あたしの隣に誰かが立っている。


慌てて見上げた先にはおじさんがいた。



「うそ…。」

「ははっ。来たぞ!」

「ありがとう…。」


仕事で来れないと思ってたのに。

無理かも、と言いつつ駆けつけてくれるのがおじさんだ。




教室に立っている先生が、全体を確認してから通った声で話し始めた。



「今日から、みんなの担任を受け持つことになった、島ノ内(しまのうち)だ。担当教科は体育。1年間よろしく。」


そう言って頭を下げる先生は、確かにスポーツができそうな普通のオッサンだった。


そんなオッサンの祝辞の言葉や親への挨拶などは適当に聞き流し、あたしはさっさと帰って寝ることを考えてる。



久しぶりの早起きで瞼が重い。


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