麗雪神話~青銀の王国~
「…堅物の伯父上が女性にそんなふうに微笑まれるなんて、珍しいこともあったものだわ。この方、どういった方ですの?」

レティシアが興味をひかれた、というようにセレイアと男を交互に見やった。

その時点でやっと、彼が「伯父上」と呼ばれる意味が理解できてくる。

王女殿下の伯父上。

つまり。

(王族が人さらいをしてたっていうこと~~~~っ!?)

とんでもない国へ来てしまったのかも知れない。

セレイアは青ざめながらも、必死で訴えた。

「とにかく、早く私を宿に返してよ! 私にはやらなきゃいけないことがあるんだから!」

「それは無理だ。
君は“聖女〈ラピストリ〉”候補に選ばれたのだから、試練を受けてもらわなければ、返すわけにはいかない」

「…“聖女〈ラピストリ〉”…って、何…?」

またラピストリだ。

セレイアの心からの疑問に答えてくれたのは、「人さらいの伯父上」ではなく、隣に佇んでいたレティシア王女殿下だった。
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