さぁ、オレと恋をしてみようか
「ね、聞いた!?賢太くん!水族館だって!!」
「イヤでも聞こえる…」
「芽衣子、お母さんたちの初デートも水族館だったのー!」
「えっ、そうなの…?」


お母さんは〝ウンウン〟と、何度も頷き、お父さんを見ると〝はぁ…〟と深いため息をついていた。


「そうそう!それでね、ちょーっと薄暗い場所でねキス、」
「智衣!!」


あ、今〝キス〟って言った。そっか、水族館でデート中にキスしちゃったんだ…。


「なによー、ホントのことじゃない」
「そう、だけど…!なにも娘の前で言う話じゃないだろっ」
「やだ、賢太くん。照れちゃってー!」
「うるさいっ」


2人はいつものように、じゃれあってるけど、今のわたしには、それがちょっとだけイヤだった。


そのあともデートの様子を、お母さんに根掘り葉掘り聞かれ、お父さんは耳を塞いで「あーあー」と言ってて、子供にしか見えなかった。


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