さぁ、オレと恋をしてみようか
話が終わったのか、千織さんからスマホを受け取った。


「お母さん…?」
『もう、ビックリしたじゃない!急なんだもんっ』
「うん、ごめんなさい…。わたしも、ビックリしたけど…」
『あら、そうなの?話して決めたワケじゃないの?』
「うん…」
『まぁ、なんにしてもイヤなことがあって、千織くんが傍にいてくれるって言うんなら、いてもらいなさい。こっちのことは、気にしなくていいから。賢太くんには、うまーく言っとくから』
「でもっ…」
『大丈夫よ。千織くんに、たくさん甘えなさい?』
「……うん、ありがとう。お母さん…」


電話を切って、千織さんを見た。


「千織さん……」
「こんな、弱々しく笑った芽衣子を帰せるわけないだろ?」


そう言うと、優しく手を握られ、わたしは初めて千織さんの部屋にお邪魔することになった。


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