地味優等生→リアルシンデレラ ~みつけてください王子さま~
 黙って聞いていた彩音だが、話終えても黙り込んだまま。妙な緊張感に汗が流れる。

「あ……!思い出したぁっ!!」

 突然顔を上げて叫ぶから、私は心臓をどくどく言わせて椅子の背もたれにしがみつく。

「な、なにっ!?」

「思い出した、思い出した‼伊東でしょ、そいつ」

 頭を捻らせても、彩音のように閃かない。そんな名前だったような気もする。

「絶対そうだよ!だって、あの後まじで嫌いになったもん、伊東のこと」

 その時のことを思い出したのか、目を吊り上げて握り拳をつくっている。

「まぁ、小学生の時の話だし、彩音落ち着いて」

「いやいや、違うの。そうじゃなくて……」

 彩音は落ち着くどころか、興奮冷めやらぬといった風に取り乱している。私はとにかく黙ることにした。

「伊東はね……璃子のことが、好きだったんだよ」

 …………ん?聞き間違い?今、空耳が聞こえたんだろうか。

「ほんとだって!!私と渡辺が協力して伊東に告らせようとしてたんだから」
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