カフェには黒豹と王子様がいます
第十六章  無防備な黒豹
第十六章 無防備な黒豹


 あれから徳永先輩はいつも通り、何事もなかったようにふるまっていた。

 だから私も、この間の徳永先輩とのことは考えないようにしようと、心に決めた。

 そんなある日、マスターから提案があった。

「もうすぐ五周年だから、何かイベントみたいなことがしたいんだけど」

「いいですね!」


 ウキウキしているマスターの意見に飛びついた私。

 いっそすごく忙しい方がまぎれると思ったのも確かだった。

でも、小野田先輩と徳永先輩は顔を見合わせて、ため息をついていた。

 
「乗り気じゃないんですか?」

「いや、いいんだけど……」

 にっこり笑っている徳永先輩だが、少し笑顔が引きつっているような?
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