カフェには黒豹と王子様がいます
「全然今すぐの話じゃないから、気楽に聞いてね」

 徳永先輩は黙ってうなづく。

「もっとオープンキッチンにしてさ、小野田くんがケーキを作って、徳永くんがコーヒーを入れる。そんな店になるといいなって思ってる」

 みんながだまる。

「ほ、本当に重く考えないで!ただの理想だからさ」

「でもね、もう三月よ。優ちゃん恭ちゃん、あなた達、もうすぐ就職活動でしょ?だから、そういうのも選択肢の一つとして考えてみて」

「……はい」

 
 私はこの時は単純に、二人がこの店を継いだら、ずっと先輩たちの姿がこの店で見られるんだというくらいにしか考えていなかった。

 
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