カフェには黒豹と王子様がいます
「ずっと小野田さんを見つめている西口さんを見てるのが辛いよ」

 そんなに見てたのかな私。

「豊川くん、ごめんね。うれしいけど私、その気持ちには……」

「言わないで!わかってるんだよ。わかってる。だから、言わないで。それでも僕、西口さんの事好きなんだ!」

「豊川くん……」

「だからね、僕、決めたんだよ。頑張って西口さんに好きになってもらうって」

 豊川くんは私の手を引っ張って抱き寄せた。

「やめて……」

「大好きだよ……西口さん」

「離して、お願い……」

 豊川くんはパッと私を離した。

「ご、ごめんなさい!帰るね。さよなら!」

 豊川くんは走って帰って行った。

 豊川くんの素直さが少し怖い気がした。

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