カフェには黒豹と王子様がいます
 次の日、私は思い切って店の近くまで行ってみた。

 店から小野田先輩の声がする。

 胸が締め付けられる。

 やっぱり帰ろうかと後ろを向いたら、豊川くんの声がした。

「あれ?西口さん!来てくれたんだ!」

 そっと振り向くと、にこにこした豊川くんがいた。

少しほっとした顔の小野田先輩と視線がぶつかる。

 小野田先輩は視線をそらし、奥に入って行った。

 豊川くんは、私を店の中に招き入れ、水を持ってきた。

「注文は、マスター特製、西口スペシャル第二弾でいいかな?」

 うなずくと、嬉しそうにマスターの方に行った。

 しばらくして豊川くんがケーキプレートを持ってきた。

 ごろごろナッツのチーズケーキ、メープルとリンゴのムース、そして暖かいフォンダンショコラと生クリームの三種盛り。

 どれもマスターの新作らしい。
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