カフェには黒豹と王子様がいます
 自覚させられた。

 頭では分かっていたのに気持ちが付いて行かなかった。

 中学から仲良かった小野田に、この気持ちを打ち明けた。

「お母さんって呼んでみたらどうだ?ずっと名前で呼んでるからそんな気持ちになるんじゃないか?」

「今更、呼べないよ」

 この思いがどこにもいかない辛さと、どんどん大きくなる博子さんのおなか、幸せそうな、オヤジと博子さんを見たくなかった。

 何かで発散させたくて、小野田が入っていた空手部に入った。

 僕は割と器用な方なので、空手はみるみる上達した。

 いつも愛想笑いのうまい僕が、空手中は真剣な顔をすると言って、女の子にもてた。

 どんどんうまくなる愛想笑い。

 お茶の「おもてなしの心」も、そうとう役に立って、いろんな女の子と付き合った。

 でも、付き合ううちに必ず言われる。

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