カフェには黒豹と王子様がいます
「今お前がちょっとかわいく見えちゃった」

「な、何言ってるんですか!」

「フフ、だから熱のせいだって」

 我慢できなくなった。

 やっぱり西口を小野田に渡したくない。

 音を立てずに裏に入ると、西口が小野田にキスしようとしているように見えた。

 やめろ!やめてくれ!

「小野田を襲っちゃだめだよ」

 それを言うのが精いっぱいだった。

「西口―、僕が倒れても、熱計りに来てね」

 なんて、茶化すことしかできなかった。

 ちらっと小野田を見ると、僕を見てにやっと笑った。

「お前、そうとう西口にやられちゃってるよな」

「そんなことないよ」

「いつまでも博子さんを思ってるより、よっぽど健全だよ」

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