カフェには黒豹と王子様がいます
 西口の向こう側に徳永の背中か見える。

 急いでタクシーの窓を開けた。

「徳永!」

 背中で俺の声を聴いている。

「ごめん!ほんとごめん!」

 徳永は手をひらひらさせていた。

 俺は、タクシーの窓から身を乗り出し、西口の腕を引っ張った。

 西口の頭を抱えこむように抱きしめ、唇を重ねた。

 柔らかい唇、とろけるキス。

 俺は西口の顔をじっと見つめた。

「西口、3年だ!3年で帰ってくる。待ってられるか?」

 西口は大きくうなずいた。

 
  
 そして、フランスへと旅立った。
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