カフェには黒豹と王子様がいます
 いろいろ考えていても仕方がないので、明日からバイトに行くことにしたものの、仕事に集中できるのかどうかの方が心配だった。

 いっそ、今日お客さんとして店に行ってみよう。

 実はそう思ってから二時間、どの服を着ていくかずっと鏡と格闘している。

 洗い物で荒れた手も、ハンドクリームでマッサージし、髪の毛もいつも束ねているので、おろしていこうか迷う。

 あんまり気合入り過ぎてても引くだろうし、それでもいつもの仕事姿とは、ちょっと違うというところも見せたい。

 そんなこんなで三時間半費やし、私はようやく家を出た。

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