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「いらねぇわ、んなもん。貰ってどうすんだよ」
「好きな子と使えば?お揃い」
「つか、なんでお前に貰ったペアを使わねぇといけねぇんだよ。マジなんもいらねぇから」
「えー…そうなの?良いと思ったのに」
「気持ちだけで充分」
「じゃ、また家に行くね」
「だから来なくていいから」
「ほんっと冷たい奴だねぇー…」
丁度、タクシーが停まった所で優香は俺に向かって手をヒラヒラさせる。
「また沙世さんとこ行くわ。優香もありがとな」
「どういたしまして」
ニコッと微笑んだ優香を見てタクシーから降りる。
まだ手を振っている優香に軽く手を上げ、発進すると同時に背を向けた。
んだけど、
目の前で不吉な笑みを浮かべて俺を見る流星を目で捉えた。
ほんっとコイツはいらねぇときばっかに現れる奴だな。
「お前、また女かよ。今度は誰?」
興味津々で笑みを浮かべ俺の近くまで来た流星は肘で俺の腕を突く。
「誰でもねぇし」
「んな事ねぇだろ。すげぇ綺麗な女捕まえて何してんんだよ」
「…あれが?」
「あれがって。お前はどんだけ目が肥えてんだよ。一般の男なら綺麗なレベルに入る女だろうが」
「……」
ま、確かに流星が言う様に優香は綺麗だろう。
に、しても益々、沙世さんに似てきたわ、アイツ…
「つかお前、陰でどんだけ女作ってんの?姫じゃなさそうだし」
「つか、お前さ。俺の横に居る女を全て彼女にすんなよ。ちげぇから。沙世さんの娘だから」
「え、あー…あの美人社長の娘?どうりで綺麗なはずだわ。で、お前はまだ酒残ってねぇだろな」
「寝たから残ってねぇよ。今日は楽」
「ま、ほどほどにしとけよ。最近お前、飲みすぎだからな」
「はいはい」
そうとは言ったものの、やっぱり忘れたい事とか考えたくない事があれば酒に頼るしかなった。
一人で居ると訳わかんない事を考えて、余計なことまで考えてしまう。
だからたらふく飲んだ酒で、ぐっすりと眠りにつきたかった。