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「…みぃちゃん、ごめん」
「…翔?」
「うん…ごめん。ちょっとバタバタしてて」
「そっか」
やけに沈んだ声。
聞こえるか聞こえないかくらいの搾り出した声。
今、何を考え何を思ってんだろうと…
きっと美咲は自分に攻めてるだろう。
そんな奴だからな。
だからと言って、俺がどう言う風に支えたらいいのかなんて全然分かんなかった。
「元気ねぇじゃん。大丈夫か?」
「うん…」
「諒也を刺した奴…」
そこまで言って躊躇ってしまった。
また思い出すんじゃねぇかって。
でも言わない限り美咲の安堵は見えないだろうと…
「なかなか見つかんなくて手間取ってた」
「見つ…かった、の?」
「あぁ」
「一人で探してたの?」
「いや、ダチが探してくれた」
「そっか…」
美咲の少しだけホッとした声が耳に届く。
それも俺も同じで、今こうやって美咲の声を聞くと安心感が得られた。
だからこれ以上、美咲に深く問い詰める事なんて出来なくて。
美咲の気持ちが少しでも楽になるのであれば何も聞かない方がいいと思った。
「もう出てこねぇよ。…警察に送ったから」
「…翔?」
「うん?」
「ごめんね?私が…私の所為なの。私が――…」
「それ以上何も聞きたくねぇわ」
「……」
「みぃちゃんが謝ってる姿とか想像したら俺、何て言ったらいいのか分かんねぇし」
「ごめん…」
「ほらまた謝った」
思わず困った笑みが漏れる。
美咲の泣きそうな顔が目に浮かぶ。
そしてあの時の″助けて″と呟いていた言葉が頭を過る。
なのに俺は何も出来なくて、言葉さえも選んでしまう。
俺って、こんな情けない奴だったのか…
どうして美咲の前だと上手く言葉が回らないのか。
どうして女に対して簡単に吐き出せる言葉も美咲の前だと言えないんだろうか…
そんな自分が、ただ嫌になった。