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「ま、アンタのはキスって言わないのかもねー…」
遠くを見つめて更にクスリと優香が笑う。
その方向に視線を向けると、店の出入り口の反対側。
その壁に凭れてルイが女と唇を交わしていた。
ガッツリと女の頭を抱え、女はルイの首に両腕を回す。
こんな所で激しくすんなっつーの。
「お前、人のキスに興味あるとか変な趣味してんな」
ルイから視線を逸らし、フッと鼻で笑って優香を見る。
「人のキスには興味はない。だけどアンタの人間観察には興味あるの」
「は?意味分かんね」
「じゃ帰るわ、寒いし」
クスリと笑って優香が背を向けて歩き出す。
その優香から視線を逸らし俺は足を進めた。
視線を送る先には未だに密着して濃厚なキスを交わしているルイと女。
2人から視線を逸らし出入り口にあるその階段を差し掛かった時――…
「この後、ホテルでエッチする?」
「うん。したい」
どうでもいいその会話に一息つき、俺は店の中へと入った。
閉店後。
入ってソファーに崩れ込んだ瞬間にため息と、瞼を閉じる。
朝からの睡魔。それが今になってようやくピークを迎えて来る。
だから今日はいつも以上に酒を控えた。
寝不足の大量摂取は経験上、身体によろしくないと分かっていたから。
「…楓さん、ここで寝るんすか?」
遠くの意識の中で聞こえてくるアキの声に閉じていた目をゆっくり開ける。
「あれ?お前帰ったんじゃねぇの?」
「いやー…スマホ忘れてて取りに来たんすよ」
「あぁ…」
「で、俺見ちゃったんすよ」
「何を?」
「ここに来る途中、ルイさん女とホテル入って行きました」
「アイツが誰と寝ようがどうでもいいわ」
「はぁ…俺も身体で稼ごうかな」
ぎゃはは。と再び聞こえた笑い声。
その声は流星で、「なに、お前。AV男優に路線変更かよ」ケラケラ笑った声がやけに頭に響く。
眠い。
すげぇ眠い。
目を瞑ってもうすぐで寝そうっていう俺の前で2人の声が癇に障る。