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「症状は確かにいいとは言えねぇけど、でも薬を飲んで大丈夫の様に今の状態を保ってる」
「……」
「悪いからと言って死んだりしねぇよ。だから大丈夫。…みぃちゃん残して死なねぇよ」
だから安心しろって。
俺の事で泣くな。
美咲は少しだけ安堵したのか抱きしめた時より身体の震えが落ち着いていた。
その華奢な身体を俺はまだ離す事はなかった。
「ねぇ…教えて?」
「うん?」
「なんで。…なんでそこまで頑張ろうとするの?自分の身体まで削って何でそこまで頑張ろうとするの?」
なんでかねぇ…
別に自分の身体を削ってるって言う自覚など一切なかった。
ただお袋が亡くなってから無我夢中になれば俺がお袋を死に目にやってしまったという事を忘れるから。
働けば働くほど、過去を思い出す事はなかったから。
「じゃあ…。じゃあ、なんでみぃちゃんは頑張ってんの?」
頑張ってんのは俺よりお前じゃねぇのかよ。
意地悪だったのかもしれない。
美咲の質問を答える事もなく、美咲の事が知りたくて。
「…ママの助けになりたい」
「……」
小さくポツリと呟かれた事。
だからと言ってそんな無理する必要もねぇと思うけど。
「ママね来週退院するんだって」
「そっか。やっと退院できんだ。良かったな」
「うん。だからね、少しでも身体の負担を減らしたい」
美咲らしい答えに俺の頬が緩む。
「みぃちゃんのそう言うところ好き。俺には出来なかった事」
「……」
ほんと俺には何も出来なかった事。
自分の事しか考えてなければ金の心配など一切しなかったあの頃。
ほんと、情けねぇ話で。
だからそんな親思いの美咲に惹かれたのはいうまでもない。