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「遊びじゃねぇよ。俺はあの男とは違う」
「…そう」
「別れる理由があれば綺麗に別れる。でも今はその理由がない」
「そう」
沙世さんは安どのため息をつき、周りの片づけをし始める。
多分、沙世さんはずっと聞きたかったんだろう。
俺がホストなんかしてるからだろうか。
俺が昔は適当な奴だったからだろうか。
それは分かんねぇけど、沙世さんの表情を見てると気づかされることがある。
「沙世さんが心配するほど子供じゃねーよ」
「何言ってるのよ。私から見ると、まだまだ子供よ」
フッと笑って口角を上げる沙世さんは昔からお節介の心配性。
「相変わらずだな」
小さく呟く俺に、「え、なに?」と、沙世さんは振り返る。
「いや、なんもねーよ」
食べ終えた後、腕時計に視線を送る。
2時40分。
水を含み立ち上がる俺に、「あ、送るから待って」振り返った沙世さんが声を掛けてきた。
「タクシーで帰っからいいけど」
「私も帰るから」
「外出とくわ」
そう言って俺は外に出て箱から取り出したタバコを口に咥えて火を点けた。
何時間吸ってなかったんだ、と思うほど吸っていなかったタバコ。
このまま辞められたらな、なんて思うが、俺には辞められそうにもない。
時々、乾いた咳が喉の奥からこみ上げる。
薬のんでこんなに早く治まるわけねーか、なんて思いながらもタバコは口に向かっていた。
「ちょっと、また吸ってんの?」
出てきた沙世さんの声が響く。
振り返ると顔を顰めたまま俺をジッと見ていた。
「またって、ここに来て初めてだけど」
「そういう事言ってるんじゃないのよ。もう早く消して、行くわよ」
「はいはい」
素っ気なく呟き、俺は隣にあった灰皿にタバコをすり潰し、暗闇へと足を進めた。