愛してるって言って
「ならいいけどさ。……まあ、あんまり遅くならないようにしろよ」



そう言った圭ちゃんに思わず笑みがこぼれる。


そんなあたしを見て、圭ちゃんは眉間の皺をさらに深くした。



「何が可笑しいんだよ」


「だって、圭ちゃん、パパみたい」


「はあ?」



『遅くならないようにしろよ』



なんて、どう考えても父親が言う言葉じゃない?


パパもよく言うし。



「それ、嬉しくねぇ」



圭ちゃんは苦笑しているけれど。


まあ、普通に考えたらそうだよね。


ていうか、



「あたし、早く行かなきゃ!」



6時に着かないじゃん!


圭ちゃんもちょうど部活仲間から声がかかって、あたしに手を振りながらグラウンドへ戻っていった。


あたしも急いで歩き始めた。
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