お嬢様の秘密ー番外編ー
「葵様。こちらに置かせていただきますね。」


「………ああ。ありがとう、理央兄。」


最近仕事詰めで書類に忙殺されている。


なかなかパソコンを打つ手が止められない。


「………葵。」


理央兄が俺を呼び捨てしてきた………?


「たまには俺と話さないか?最近疲れてるだろ?」


これが理央兄のその性格。


俺にはなかなか見せてこなかった。


俺は仕事の手を休めた。


「たまにはそうするよ、理央兄。2人っきりってあまりなかったもんな。」


「ああ。……吉崎さんには内緒だぞ?」


「分かってるって。あの人も空気読むの得意だから大丈夫だろ。」


ベテランのなせる技だ。





「で、理央兄が二人っきりで話したいのは何?」


「………本気の恋愛したことあるのか、葵は。」


真剣な声で言うから何だと思ったら。


「………理央兄から色恋沙汰の話を持ちかけてくるとはね。……誰が好きなの?」


「いや………そうじゃなくて………。」


もしかしてあれか?


「昔抱いた1人の女の子が理央兄に思いの外感情移入しちゃったってこと?」


軽い例で言ったのに、理央兄は俺を凝視した。


「………当たってんだけど。そう………それを思い出してさ………。」


それで聞いてきたのか。


「………理央兄って何で遊んでたの?」


一見真面目そうに見えるのに昔はかなり遊んでいたと玲央が言ってたし。


……俺も言えたもんじゃないけど。


クラスの女子が誘ってきたからしょうがなく抱いていたことはあったし。



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