俺は、お前がいいんだよ。

「お待たせ、お茶で良かった?」


「うん、何でも大丈夫…。」


ペットボトルのお茶を受け取ると、瀬ノ内君は私の手を握って、駅とは反対方向へとショッピングモールの中を歩き始めた。


「あ、あの…どこ行くの?」


「ここの屋上、綺麗な庭園になってるらしいんだ。ちょっと見に行ってみないか?」


瀬ノ内君が指差すのは自販機の隣のスペースに貼られている大きなポスター。


緑や花が鮮やかな庭園の写真が映っている。


お茶を買った時に目に入ったってことか…。


「妹のプレゼント選びに付き合ってもらっただけ…ってのも、つまらないと思うからさ…。」


「ううん…!私、ああいう可愛い雑貨とか好きだから、プレゼント選びのついでに色々と見れて楽しかったよ。だから、気を遣ってもらわなくても……」


「あんまり庭園とか興味ない?」


「そ、そんなことないよ…。花とか好きだし…。」


「じゃあ、行こう?せっかくだから…。」


えっ…!?


どうして、そんな強引な成り行きに…?


私は駅に戻りたいんですけど……。


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