ワンコorオオカミですか!?
三、その尻尾はワンコには大きくないですか?



ランチを全員分奢ってくれた美国部長のカードはブラックだった。
私のスーツもランチも全部カードで払うなんて。

もしかしなくても――あの人、凄い人なんじゃ。
いや、凄い人か。

「何をブツブツ言ってるの?」
簡易会議室に入ってきた紺野さんが、私を見て怪訝そうな顔をしている。

でもすぐに私の服装を見て、手で口元を隠しながら笑う。

「結局ピンクなのよね。似合ってるわ」
「勝手に買ったんですよ! 私の意見なんて全無視です」
「まあいいじゃない。そうそう、貴方の課の部長 貴方の珈琲をずっと待っていた 、また電話に捕まってたわよ」
「あ」
そうだった。
死にかけの部長に結局、珈琲を届けていない。
でも電話に出るぐらいは回復してるなら大丈夫なのかな。

「私が珈琲は渡したから大丈夫よ。それより美国部長も忙しそうだったし、私の方の仕事から進めてもいい?」
紺野さんはそう言ってiPadを取りだすと、私のデザインに照らし合わせたインテリアの候補を何個か出してきた。
フルオーダーにするなら、クライアントに見積もりと会社名を何社かピックアップして早めに渡さなければいけないらしい。
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