タイムトラベラー・キス

”信じているから”
その言葉は本当にまっすぐで、一本の矢のように私の心に突き刺さった。

目の前の私は”長いときを共に過ごしてきた私”ではないのに。
まったく疑うこともなく、綺麗な瞳で私を見つめている。


同窓会に行きたい本当の理由も知らないで、私の言葉がすべて真実だと、当たり前のように受け入れる。


まるで王子様のように私の前に跪き、一途な想いを伝えてくれる。
その笑顔から、体中から、私のことを本当に愛してくれていることが伝わる。


伝わりすぎて……辛い。
私、本当に同窓会に行ってもいいの?

なんでこんなに苦しくなるの。
どうしてこんな気持ちにさせるの……。



私は、悪くないのに。
全て未来の私の我儘に付き合わされているだけなのに。



……いろんな感情が混ざり合う中で、ひとつだけ、はっきりとしたことがある。



私、もう、この人に…………嘘をつきたくない。
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