お隣さんは意地悪センセイ!



あたしはハンカチをギュッと握りしめて
笑顔で顔を上げた。




「ハンカチ、ちゃんと洗ってお返ししますね!」



「そんな鼻水ついたの返してもらわなくていいから」



怪訝そうに言う櫻木先生だけど、さっきの困ったような照れたような表情が抜けないから全然怖くない。



ふふっ、何だか可愛いな…




「さっきから何笑ってんの高梨さん」




「いえ、何でもないです」




本当、どうしよ。




好きになっちゃいけない人なのに。



『好きになっちゃいけないって思ってる時点で、もうそれは好きなんだよ』



そっか……そうだったんだ。
簡単なことじゃん。



あたしは櫻木先生のことが好きなんだ────。





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