Different Real
Real 6



今回は私、皆川杏璃のお話。

「いつでも笑っていなさい。そうすればきっといいことがあるから」

小さい頃、表情を作るのが苦手でほとんど無表情だった私に母はずっとそう言ってきた。

幼稚園に入園する少し前、一戸建てのおうちを建てた。

今日からここに住むんだって思ったら胸が高鳴った。

広い広いおうち。

自分だけの部屋。

おうちの中に階段。

すべて初めてで、近所を1人で散歩に行った。

ただひたすら歩いていたら公園が見えた。

広くて綺麗な公園だった。

「おーい、きょーへい!アリの巣みっけたー!」

「え!?アリさんいっぱいいる!?」

目の前で男の子2人がしゃがみ込み、必死にアリの巣を見つめていた。

変わった子たち。

幼いながらにそう思った。

だって目の前には綺麗なお遊具がたくさんあるんだもん。

「ねぇ、あっちではあそばないの?」

男の子2人にそう聞くと、2人は不思議そうに私を見つめた。

「んー、きみだれ?」

「皆川杏璃ちゃんだよ」

「みなかわ......。聞いたことあるようなないような......。まあ、いっか!お前にアリの素晴らしいところを教えてやるよ!」

そう言って偉そうにふんぞり返ったのが陸だった。

恭平は昔からおっとりとした男の子だった。

マイペースで必要以上にしゃべらない。

だけど、すごく笑顔の素敵な男の子。

彼が笑うたびになんでか私まで笑顔になれるような気がした。

それくらい、笑顔が素敵だった。





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