敏腕社長に拾われました。
○火のないところに煙は立たぬ?

虎之助の会社で働き出して早一ヶ月。まだ梅雨の明けていない空は、毎日どんよりとしている。

私はというと。会社では宮口さんにこき使われ、永田さんには毎日「いつ辞めるんだ?」と言われながらもそれなりに頑張っている。

秘書の仕事もスケジュール管理も任されるようになって、毎日忙しくも充実した日々を送っていた。

虎之助との暮らしも慣れてきて、交際も順調。

でも最近の私は、元々の悪い癖が見え隠れし始めている。ダメだと思っていても、溢れ出る愛情を抑えるのは至難の業で。ついつやり過ぎてしまうこともしばしば。

でも虎之助は、嫌な顔ひとつ見せず付き合ってくれる。一日頑張って欲しくて朝からハンバーグを焼いた時も、ぺろりと食べてくれた。

でも私もバカじゃない……と思う。少しは学習したし、“虎之助の負担にならない程度の愛情を“をモットーに日々努力している。

今日も朝から虎之助や重役たちのスケジュールを調整していると、総務へ行っていた胡桃ちゃんが血相を変えて戻ってきた。

「大ニュース、大ニュースですよ!」

そう大声で叫ぶと、興奮してよほど喉が渇いていたのか、自分のデスクの上に置いてあるペットボトルのお茶を飲む。

「長坂さん、ちょっと落ち着きなさい。一体、どうしたっていうの?」

宮口さんはメガネのフレームに指を掛けると、それをクイッと持ち上げた。この仕草をするときは、宮口さんがイライラしている証拠。私がこの一ヶ月で学んだことだ。

でも胡桃ちゃんにはそんなこと関係ないみたいで、相変わらずイマドキ口調で話を続けた。



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