敏腕社長に拾われました。
○踏んだり蹴ったり胸キュンしたり

「会社まで乗っていけ」と言う虎之助の好意を断って、少し手前の人に見られない場所で車から降ろしてもらう。

虎之助は最後までブツブツ言っていたけれど、もし一緒に出勤してきたところを宮口さんに見られたりでもしたら……。

想像しただけでも恐ろしい。

「虎之助、ありがとう。またあとでね」

「ああ。慣れるまでは大変だと思うけど、何かあったらいつでも俺に……」

「大丈夫。心配しないで」

虎之助のひらりと手を振ると、車のドアを閉めて歩き出した。

虎之助の助けはありがたいけれど、生活も助けてもらっている上に仕事まで……というわけにはいかないでしょ。

職場では、社長と秘書。その関係はきちんと理解して普段の生活と別けておかないと、後々厄介なことになりかねない。

なにせ秘書室の面々は、一筋縄ではいかない人ばかり。

初めて秘書という職に就くというのに人間関係にも気を使わないといけないとは、初日から気が重い。

それでも持ち前の明るさと根性で、何とか乗り切ってやるぞ!と気合を入れると、意気込んで会社に向った。



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