喫茶人形 〜メイドの恋〜



「…お披露目がなかっただけで
箱入りはもう済んでるのよ
だからあそこで働く必要なんか
もうないの

…ただ、行くとこがないから
リリスさんが余計なお節介して…― 」




薄く笑ったユイファさんの顔が
ふい と横を振りかえった

私もそっちを向くと
たくさんの男の人たちが
笑いながらドカドカと歩いて来る




「ぅ暑ッち〜〜…!
――― あ、どうも〜 」


…元々、この人たちの場所なのかな
そう思うくらいの、慣れた動き



ユイファさんが
言ってた人たちなのかな…

そう思って顔を見ると
"知らない"って感じで手を振る


私は急いで、ソファから立ちあがった


「あ! い〜ってい〜って!
キミ、ヨルのカノジョでしょ?」




大人っぽく笑う唇にピアス ―――


黒いスーツ 指輪をした手に
もう一度ソファへ引き戻された


「名前は?」


「…ヒロコ」




「へ〜 かわいい名前だねぇ
そっちの子は?」


「ユイで〜す」




向かい合わせに座ってる
ユイファさんと私
その両脇には、男の人たち


飲み物頼んだり、お酒飲んだりして
せまい部屋の中はいっぺんに
ケムリで白くなった




…誰なんだろう

ヨルと一緒に、
ダンス踊ってた人たちじゃない…


「あ〜
そんな心配しないで
俺ら、ヨルの先輩?だからさ」




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