私の好きな人

「ヤバいヤバい…
僕はもう出来ない…

早く会いたい
辰也くん、お願い…っ

早く僕を帰らせて…っ!」


女は、辰也に救いを求めるような顔で
辰也に縋っていた


な、なんだ…?
どうしたんだ…?


辰也は、混乱している女を抱きしめると
女の後ろに手を伸ばし首に一撃を食らわせた

女は意識を失ったのか
辰也に身体を預けるように倒れた


「お、おい…
一体、どういうことだ…?

さっきまでの余裕ある女の感じじゃなくなったぞ
まるで別人だ」


俺は女を抱きしめている辰也に聞くと…


「………」

「…っ…」


辰也は、冷めた顔で女を見下ろしていた
俺は、そんな顔の辰也を見て身体が恐怖で固まった

< 142 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop