私の好きな人

「遥。昴に連絡しろ。
今日はみんなで夕食を食べるから
帰って来いってな。」


「……司…僕…」


「大丈夫、俺は蛍さんのとこに行かない
だから、早く昴に連絡しろ。」


「…うぅ…ぐすっ…
お願いだから…もう、僕の傍を離れないで…」


「あぁ。分かってるから…
早く昴に連絡しろ。分かったな…?」


「うん…」


あの女は、いつものヘラヘラした表情を崩し泣き始めると、お父さんはあの女の頭を軽くぽんっと叩き携帯を手に持たせた


「…昴…?
うん、僕…

今日みんなで夕食、食べるから帰ってきて…

大丈夫だよ、うん…分かった…」


あの女はお兄ちゃんに声を震わせながら電話して、しばらく話すと携帯を切った


「昴、すぐ帰るって…」

「そうか。ありがとな、遥。」

「うん…」


またあの女は、お父さんに抱きついた
お父さんは、そんな女の頭を優しく撫でていた

< 21 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop