ハッピーアワーは恋する時間
「ひとりで帰れるか?」
「うん。まだ時間あるから、その辺ブラついて帰る。私のことは心配しないで」と私が言うと、亜幸さんは頷いた。

たぶん今の亜幸さんは、すでに仕事モードに入っていると思う。
彼の切れ長の目はそういう輝きをしているように、私には見えた。

「後で電話かメールする」
「はーい・・あ、亜幸さん!」
「ん?」
「あの・・・気をつけてね」
「ああ」

遠のく亜幸さんの背中に向かって「行ってらっしゃい!」と言うと、彼は左手を上げて応えてくれた。

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