ハッピーアワーは恋する時間
「えぇーっと、うん。あのー、湯浅亜幸さんは、父の部下だった人でね、この前偶然再会したの」
「まぁそうなの!」
「・・・春花さん、何だか嬉しそうね」
「もちろんよ!だって、ようやく未散さんが恋をする気になったんですもの」
「はい?亜幸さんとはそういうんじゃなくて」
「その方と恋をしてはダメなの?もしかしてその方、すでに結婚されて・・・」
「ないない!」
「じゃあ、他に恋人が」
「いない・・・と思う」
「だったら、湯浅さんとおつき合いをしても、全然問題ないじゃない」
「私は・・・!もう、恋なんてしない・・・」
「恋ってね、どんなに抗っても、やってくるときはやってくるのよ」
「う・・・・・・」

その意見にはんたーい!
と言いたいところだけど・・・言えない。

「未散さん。申し訳ないんだけど、私はお昼寝をさせてもらっていいかしら。もう・・・すごく眠くて」と言った春花さんは、今にもこの場で寝そうな顔をしている。

「あ、うん。せつなちゃんは私が見てるから。眠って」
「ありがとう」

眠たげな顔の春花さんは、せつなちゃんを私に託すと、事務所奥にある育児室の方へ、ヨロヨロと歩いて行った。

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